理科読日誌

親子で楽しむ科学の本

みかんとカラス

先日、"みっつん"と公園に行ったときのこと。
遊具で遊んでいた"みっつん"が、「カラス!」と指さす方向を見ると、一羽のカラスが何かをくわえて飛んできました。
オレンジ色の丸いもの・・・みかんをくわえていました。

公園に降りたったカラスは、口から離したみかんを脚でしっかりと抑えると、皮をつつき始めました。
驚いたことに、くちばしで皮をちぎってはポイッと捨て、ポイッと捨て・・・中の甘い実だけを食べるではありませんか!
なんと賢く、そしてグルメなことでしょう。

しばらくみかんと格闘していたカラスでしたが、最後の実の部分をくわえると、サッと飛び去ってしまいました。

すると、その様子を遠巻きに見ていた2羽のカラスが、すかさず公園に降りたちました。
ところが、この2羽も皮しか残っていないと見るや、興味を失った様子でその場を立ち去ってしまったのです。

「カラス、賢いねぇ。みかんの皮を剥いて、中の実だけ食べてたねぇ。」と話しかけると、「カラス、みかん食べたね」と"みっつん"も神妙な顔で返してくれました。

帰宅後、ふと思い立ち、"みっつん"と読んだ本がこちらです。

『トリノトリビア』
川上和人(鳥類学者)×マツダユカ(マンガ家)
西東社
2018年
¥1,200+税

カラスやハト、スズメといった身近な鳥にまつわるトリビアをカワイらしいコマ漫画(右ページ)と、それにまつわる解説(左ページ)の見開きで紹介しているので、すき間時間にも読みやすい1冊です。
この日は、カラスにまつわるトリビアをいくつか、"みっつん"と読みました。4コマ漫画をながめながら、「カラスって、遊んで、賢くなるんだって」などと話をしてみました。

近所の公園にくる鳥:カラス、ハト、スズメ、ムクドリ、ヒヨドリ、オナガ、ハクセキレイ辺りは、見かける回数も多いため、"みっつん"も区別ができているようで、本をペラペラめくりながら「ヒヨドリさん、この前いたね。ピューッて飛んだね」などと話してくれました。

子育てを始めるまでは、公園で1時間も過ごすようなことはしていなかったので、改めて身近なところに、けっこう様々な種類の鳥がいるのだなと気づかされる日々です。

 

みかんを楽しむ絵本たち

『みかんのひみつ』
鈴木伸一:監修  岩間史朗:写真
ひさかたチャイルド
2007年
¥1,200+税

『みかん』
なかがわりえこ:ぶん / やまわき ゆりこ:え
ブッキング
2008年
¥1,200+税

『みかん』(キンダーブック2002年1月号)
木原武士:指導
フレーベル館
¥438円+税

『くだもの』
平山和子
福音館書店
1979年
¥743+税

『くだもの いろいろ かくれんぼ(これなあに?かたぬきえほん)』
いしかわこうじ
ポプラ社
2008年
¥880+税

『せんにんみかん 伊豆の昔話』(こどものとも 2019年1月号)
福知伸夫 再話・絵
福音館書店
¥389+税

『みかん』(かがくのとも1998年1月号)
中島睦子:作/こうやすすむ:監修
福音館書店
¥362+税


今年もみかんが美味しい季節を迎えていますね。
昨年は、みかんの皮を剥いていると、期待のまなざしで縦に揺れながら待ちわびる、なんとも言えずかわいい仕草を見せてくれていた、みかん大好き"みっつん"。
今年は「みかん、ちょーだい!」とリクエストできるまでになりました。
最近では、「おかあさん、みかん、どーじょ!」と勧めることで、間接的におねだりするという高等テクニックまで身につけてしまいました。
恐るべし、2歳児!

そんな"みっつん"、この冬は、みかんとみかんの仲間(柑橘類)との出会いをたくさん経験しています。
冬至の日には、ゆず湯に入りました。お風呂に浮かんだ柚子を見て、「みかん!」と大喜び。
「これは、柚子っていう、みかんのお友達だよ。お風呂に入れっちゃったのは、食べられないからね。」と話すと、「ゆず、たべらない(食べられない)」と自分に言い聞かせながら、ぷかぷか浮かんだ柚子をかき集めて堪能していました。

年末年始の帰省先では、金柑の甘露煮をいただきました。
甘くて、でもちょっぴりほろ苦い、小さな「みかん」のお友達:きんかんも、"みっつん"の「みかん辞典」の一部になったようです。

祖父母の家で、ぽんかんにも出会いました。
みかんより少し大きくて、皮が厚くて、"みっつん"の細い指では穴を開けられない「ぽんかん」、さらに、ぽんかんに似ているけれど、出っ張っている部分が特徴的な「でこぽん」にも出会いました。

お土産にいただいた、おばちゃま特製の「ゆずジャム」をつけたトーストは、最近の朝ごはんの幸せメニューです。

さらに、いただきものの「はっさく」は、「ぽんかん」みたいだけれど、もう少し「すっぱい」ということにも気づきました。

そこで満を持して登場させたのが晩白柚です。
直径30㎝ほどの巨大な晩白柚はまるでボウリングの球のよう。
"みっつん"、果敢にも皮に穴を開けようと挑みましたが、無念…大人がナイフを駆使し、奮闘して、ようやく分厚い皮が剥けました。
さわやかな実を楽しんだ後は、分厚い皮をお風呂に浮かべて「晩白柚風呂」を楽しみました。

そんな、柑橘類三昧な日々を過ごしている今がチャンス!と「みかん」が登場する絵本を何冊かまとめて読んでみました。
以前もご紹介した『みかんのひみつ』。みかんの写真を指さしながら「みかん!」、「みかん、食べる!」、「みかん、食べたね」など楽しげにおしゃべりをしてくれました。
様々な柑橘類の写真が載っているページを見ると、「ばんぺーゆ!」「みかん!」とテンションはさらに上がりました。
大きさが似ていて、見た目だけでは判別が難しいものも、私が指さしながら「これは、ぽんかん。ばーばのおうちで食べたね。皮が厚かったね。甘くておいしかったね」「これは、金柑。小さいね。この間、ひよどりさんが食べてたね。」などと話をすると、体験の一部を思い出した様子が見られたり、「ぽんかん」「きんかん」など確認するように復唱したりしていました。

かがくのともの『みかん』にも、キンダーブックの『みかん』にも、みかんの仲間が紹介されているページがあります。
キンダーブックでは、みかんの仲間が使われている加工食品が紹介されているページもあり、姿を変えたみかんの仲間も、身の周りにたくさんあるということに気づくきっかけになりそうです。

『くだもの』は、0歳からのお気に入りの1冊です。思わず舌なめずりをしてしまいそうな写実的な果物のイラストの数々に"みっつん"は毎回「みかん!」、「ぶどう!」と大興奮してしまいます。
最近は、「あーむ」と描かれた果物をつまんで口に入れるふりをして、「おいしーね。」と"ごっこ"遊びらしき表現もするようになってきました。

型抜きされたボードブックの『くだものいろいろかくれんぼ』も、0歳からのお気に入りです。
最近では、一人でぱらぱらとページをめくりながら、果物の名前を呼んだり、「ばなな、食べたね」、「みかん、あーむ」など、独り言に余念がありません。
ときどき、「そうだね、今日の朝、バナナ、ヨーグルトと一緒に食べたね。」などと話しかけると、嬉しそうに「ばなな、おいしかったね」と返してくれたりしています。


『せんにんみかん 伊豆の昔話』と、やまわきゆりこさんの『みかん』は、物語の絵本です。
どちらも、みかんが巨大に育つシーンが"みっつん"には印象的だったようで、「ばんぺーゆ!」と反応しておりました。
わたしにとっては、どちらもみかんの種が登場するところが印象的でした。最近は、種なしのみかんが多いけれど、本来は種を包んでいる実なんだよ、ということをそのうち"みっつん"と話してみたいです。

どんぐりを楽しむ絵本たち

1.『こならぼうやのぼうし』/八百板洋子:ぶん  高森登志夫:え/福音館書店 ちいさなかがくのとも 2002年10月号 ※月刊誌のバックナンバーなので、図書館でぜひ

2.『どんぐり』/こうや すすむ/福音館書店 かがくのとも絵本/1988年

3.『ひろった あつめた ぼくのドングリ図鑑』/盛口満/岩崎書店/2010年

4.『林のどんぐり』/広井敏男:ぶん  伏原納知子:え/新日本出版社/1982年

5.『どんぐりかいぎ』/こうや すすむ/福音館書店 かがくのとも傑作集/1995年

 

昨年、"みっつん"が0歳の秋には、どんぐりの絵本を1冊ずつ、時々読んでいました。今年の秋、1歳半を過ぎた"みっつん"は、どんぐりを拾い集める楽しさに目覚めました。「どりこ(どんぐりこ)!」と目を輝かせながら、せっせと拾っている姿を見て、今年もどんぐりの絵本を読んでみようかな、と思い立ち、何冊かを読んでみたところ、明らかに昨年よりも食いつきがよくなっていました。絵本に登場するどんぐりに対しても、「どりこ!」とイラストを指さして大興奮するようになったのです。

 『こならぼうやのぼうし』で、どんぐりには「ぼうし」があるということを知ると、どんぐり拾いの際に、「ぼうし!」とどんぐり本体だけでなく、ぼうしも集めるようになりました。

 戦利品のどんぐりやぼうしが増えるにつれて、それらが実にバラエティに富んでいることに親の私が気づかされました。そうなってくると、いったい何というどんぐりなのか、どの実と帽子がペアなのか、どんな木になっているのか…私の「分類欲」がふつふつと湧き上がってきました。そこで頼りになったのが『ひろった あつめた ぼくのドングリ図鑑』です。この本では、1つの種類のどんぐりがズラリ!と描かれています。手元にあるどんぐりたちの違いが種類の違いによるものなのか、あるいは同種の個体差なのか、といったことを考えられる素晴らしい1冊です。びっしりと描かれたどんぐりに"みっつん"も大興奮!

 1週間ほど、「どんぐり週間」を設け、毎日何冊かどんぐりの絵本をまとめて読み聞かせてみました。すると、"みっつん"の方から夜の読み聞かせで読んでほしい絵本として、どんぐりの絵本数冊をまとめてベッドへ持っていくようになりました。

 1歳半を過ぎたあたりから、徐々に絵本のストーリーも楽しめるようになってきた感じがあり、1歳9か月を過ぎると、お気に入りの何冊かはお話が完全に頭に入っている様子でした。1回に読む(読み聞かせを聞く)冊数も増えてきて、一度に3~5冊くらいまとめて読めるようになってきたので、ときどきテーマを決めてまとめ読みをするようになりました。どんぐりのテーマが"みっつん"にハマってもらえたのは、彼の「どんぐりブーム」を逃さずに読んだからだと思います。(「どんぐりブーム」の間に試した他のテーマの絵本まとめ読みは、そこまでハマっていない様子だったので)同じ時期に、「どんぐりころころ♪」の童謡も"みっつん"心をくすぐっていたので、これからも、実体験でのブームを見定めて、関連した絵本や童謡などを仕掛けていきたいと思っています。

『さかなのかお』

『さかなのかお』
ともながたろ / なかのひろみ / まつざわせいじ
アリス館
2004年
¥1,400+税

 

1年ほど前に、"みっつん"と葛西臨海公園の水族館へ行きました。
そのときに、ひとめぼれして購入したのが、この絵本です。
かわいらしいタッチのイラストで、正面から見た魚の顔がずらりと描かれているのです。改めて考えてみると、魚の顔って、横顔のイメージしかないな…と気づかされました。そのほかにも、いろいろな魚の目・口など、パーツごとに比べてみることができたり、さくいんにそれぞれの魚のイラストがついていたり、と随所に楽しませる工夫が盛りだくさんです。

前回紹介した、『えあわせパズル すいぞくかん マグネットシール』を見ていて、おや?どこかで見たような魚たちだな…とは思っていたのですが、この本を引っぱり出してみて納得。同じ方のイラストでした。

『えあわせパズル すいぞくかん マグネットシール』

『えあわせパズル すいぞくかん マグネットシール』
絵:友永たろ デザイン:KJahro decopoko44 監修:清水晃
エムビージェー
2018年
¥857+税


夏休みに家族で沖縄へ旅行しまして、美ら海水族館を訪れました。
巨大水槽を泳ぐジンベイザメをはじめとするおさかなたちに、みっつん大興奮してまいりました。

 

せっかく水族館へ行ったし、この体験と言葉が往還できたらいいなと思いつつ訪れた、那覇市内の国際通りにある美ら海水族館のアンテナショップをでこの本を購入しました。

 

シャチやカリフォルニアアシカ、アオウミガメなどを含む40種類の「水族館の仲間」のマグネットシールと、水槽に見立てた見開きの台紙でできています。


台紙には薄い鉄が入っているようで、少しずっしり感があります。
マグネットがくっつく本、なんて素敵な発想でしょう。

帰宅してから、みっつんの大のお気に入りの本というか、おもちゃになっています。
1歳9か月になり、言葉を話すことと、形の認識とがブームになっているので、「じゅご(ジュゴン)」「えび」と言いながら、それぞれの形が描かれているところに、マグネットを貼り付けて楽しんでいます。
最初は、人物やエビ、シャチ、イルカあたりの、特徴的な形のものを貼ったら満足して、おさかなはお任せといった感じでしたが、少しずつおさかなも貼れるようになっていき、1か月ほどで、ほぼ1人で楽しめるようになりました。

いわゆる科学読物ではありませんが、この本のおかげで水族館の実体験がより豊かになったように思います。