理科読日誌

親子で楽しむ科学の本

『とべ!ちいさいプロペラき』

『とべ!ちいさいプロペラき』
小風さち:作 山本忠敬:絵
福音館書店
1989年こどものとも/2000年こどものとも傑作集
¥900+税

前回の『しゅっぱつしんこう!』に続き、乗り物の絵本です。

この絵本を最初に読み聞かせたときは、"みっつん"の反応はいまいちでした。電車の絵本は体を上下に揺らしながら大喜びなのに…?もしかしたら飛行機が何かがピンときていないからかもしれない、と思い至りました。

そこで、休日に空港の展望デッキに飛行機を見に行ってみました。間近で飛行機の離発着を見た"みっつん"は大興奮。「あれが、飛行機だよ。」、「飛行機が飛んで行ったね。」などと話をしているうちに、「コォー」と言うようになりました。

翌日から、飛んでいる飛行機を見かけると「コォー」と指さしながら教えてくれるようになりました。それどころか、家の中にいて飛行機の姿が見えなくても、はるか上空を飛ぶ飛行機の音を聞きつけて「コォー」と天井を指さすようになりました。もちろん、絵本の飛行機も。そのうちに「コォーキ」になり、今では「ヒコーキ」と言うようになりました。ヘリコプターも「ヒコーキ」なのはご愛敬です。でも、鳥は「ピッピ」なので、"鳥とは違う空を飛ぶなにがしか"という感じなのではないでしょうか。

飛行機という存在が彼の中で認識されたようです。改めて、実体験と絵本を行き来しながら、世界が広がっていくのだな、と感じました。

『しゅっぱつしんこう!』

『しゅっぱつしんこう!』
山本忠敬
福音館書店
1982年
¥743+税

最近の"みっつん"一押しの絵本です。
「おかあさん」と「みよちゃん」が特急列車、急行列車、普通列車と乗り継いでおじいさんの家を目指します。

0歳の時から『かんかんかん』(のむら さやか文/川本幸 制作/塩田正幸写真 福音館書店)という絵本を楽しんでいた"みっつん"は、電車を見ると「まんままーん♪」と言うようになりました。
この絵本で「んまんまれっしゃ」が「んまん ままん んまん ままん」と通るのを気に入ったようです。
近くの踏切で電車の通過を待っているときなども「まんままーん♪」と言うので、周りの方から「あら~、ママって言ってるのねー」と言われたりするのですが、残念ながら、母ではなく電車に夢中なんです・・・。

そんな電車大好きな彼にとって、この絵本はかけがえのない1冊のようで、しょっちゅう、読んでもらおうと持ってきます。

せっかく読むなら、と、こちらも列車の種類によってスピード感を変えて読んでみたり、それぞれのページに描かれた電車以外の物や景色も楽しみながら読み進めたりしています。
私のお気に入りは、山の奥へと進んでいくページに描かれた「この辺にくまが出る注意」という看板です。


電車は日常的に目にしたり乗ったりしている乗り物なので、"みっつん"にとっても経験と照らし合わせて「あれのことだな」と理解しやすかったんだろうな、と思います。
というのも、飛行機の絵本もあるのですが、しばらくの間反応がいまいちだったのです。そんな話を次回はご紹介できればと思っています。

『てのひら おんどけい』

<再>『てのひら おんどけい』
浜口哲一:ぶん  杉田比呂美:え
福音館書店
2003年

¥800+税

 

"みっつん"が8か月のころに読んだ絵本を1歳5か月で読み直してみました。
散歩にでかけた"ぼく"が、自分のてのひらで、身近なあれこれの"あったかい"と"つめたい"を探っていく絵本です。

我が家の"みっつん"も二足歩行ができるようになり、散歩の楽しみ方が少しずつ変わってきました。
最近は、朝、公園の木陰のベンチに親子で座って、鳥や蝶などをながめることも増えてきています。

先日も、しばらくは興味深げに鳥を眺めていた"みっつん"ですが、そのうちに飽きてベンチを下り、ひなたのベンチの方へ向かっていきました。
そこで、「あちち!じゃない?」と声をかけてみると、ひなたのベンチに触れてにんまり。
「こっちのベンチはどう?あちち?」と聞いてみると、すたすたと戻ってきて、ひかげのベンチにも触って確認。
どうやら違いがわかったようで、その後しばらくひなたとひかげを行ったり来たりしてベンチの温かさを確かめていました。

8か月のころは、冷たい飲み物を入れたコップで「ひえひえ~」を楽しんでいた"みっつん"ですが、あれから1年経たないうちに、2つのものを比べて確かめてみる、ということができるようになってきたのだなぁ、と感心しました。 

『ニャーンといったのは だーれ』

『ニャーンといったのは だーれ』
ステーエフ:ぶん・え  さいごう たけひこ:やく
偕成社
1991年
¥1,400+税

私が子供のころお気に入りだった『こねずみとえんぴつ―12のたのしいおはなしとえのほん (世界傑作童話シリーズ)』(ステーエフ 福音館書店)に収録されていたお話の1つです。

最近"みっつん"は、「わんわん」と「ニャーオ」が言えるようになりました。それ以外の動物を見ると、「ふわふわ」と言っています。
この絵本には、おんどりやこねずみ、はち、かえるなどが登場しますが、だれも「ニャーン」とは言いません。
いろいろな動物がいること、それぞれの鳴き方があることは1歳5か月の"みっつん"にも、わかっているようです。

こうした絵本や実体験を積み重ねながら、いろいろな動物に親しみをもてたら素敵だな、と思います。

ところで、絵本によく登場するキリンやウサギなどの動物はどんな声で鳴くのでしょう?
ウサギは「ぴょんぴょん」と表現されることが多いですが、鳴き声ではないので、「わんわん」や「ニャーオ」と整合性が無いなぁと気になっています。
キリンも、絵本だけでなく、子供向けの洋服などあちこちで見かけるのですが、鳴き声はさっぱりわかりません。

"みっつん"と一緒に動物園で探ってみたいテーマの1つです。

『ファーブル先生の昆虫教室 本能のかしこさとおろかさ』

『ファーブル先生の昆虫教室 本能のかしこさとおろかさ』
奥本大三郎:文   やました こうへい:絵
ポプラ社
2016年
¥1,800+税

"みっつん"への読み聞かせというよりも、『ダンゴムシ』に続き、来るべき(?)「息子との"むしライフ"」に向けた、母のリハビリ理科読第2弾です。

『ファーブル昆虫記』は子どものころに読んだ記憶がありますが、うろ覚えだし、ファーブルさんには申し訳ないのですが、そんなに楽しんで読めた本ではなかったように思います。
でも、この本は面白い!

奥付を見ると、朝日小学生新聞に連載されたものをベースにつくられた本のようです。
『ファーブル昆虫記』そのものではなく、昆虫記をもとに、例えばアリについて「アリ①」~「アリ⑧」と8つの見開きに小分けして紹介しているので、とても読みやすいです。
しかも文章は右ページにまとまり、左ページにはその内容に関するかわいいイラストが描かれている点も、「むしリハビリ」を進める私のような者にはありがたいです。

小学生なら、一人でワクワク読めると思います。これを読んでからご本家の『ファーブル昆虫記』を読んだら、子どもの頃の私も、もっと楽しんで読めたかもしれません。

『ファーブル昆虫記』と言えばスカラベ、というイメージがあり、実際この本もスカラベから始まるのですが、日本で暮らしていると正直スカラベはピンと来ず…。
でも読み進めていくと、セミ、クモ、モンシロチョウ、ホタル、アリ、オトシブミと日本でも出会えそうなむしたちも登場してきます。

この本を読んだら、むしにも、ファーブルさんにも、なんだか親近感がわきました。

まだ、この本のかわいいイラストで描かれたむしさんたちと、実物のむしの間には大きなギャップを感じてしまうので、引き続きリハビリに努めようと思います。