理科読日誌

2022年2月の記事一覧

手の話

幼稚園でおしゃべりに磨きをかけている年少の"みっつん"、子どもならではの自由な発想を微笑ましく思ったり、いつのまにか忘れてしまっていたものの見方を示されてハッとしたりしています。
「~坂道→動物の足の数~」では、坂道を自力で登れるものには足がある、という3歳の"みっつん"なりの理解をご紹介しました。
そこから動物の足の数にも興味が出た様子だった彼と、自宅にあった、動物が登場する絵本を「登場する動物の足の数」に注目して一緒に読んだ話を書きました。
今回は、その後日談です。

それは、ディズニーの「ターザン」を一緒に観ていた時でした。
わけあって、ジャングルでゴリラに育てられたターザンは、成長するに連れて、自分だけ仲間のゴリラたちと姿が違うことを気にし始めます。
ある日、なぜ自分だけ違うのか!?と迫ったターザンを母ゴリラは抱き寄せ、心臓の音を聞かせたり、目も2つ、耳も2つ、鼻も1つ…と「同じ」ところを挙げて慰めます。
手も2つ!と差し出されたターザンの手に、母ゴリラが手を重ねたとき、ターザンは2つの手の「違い」にハッとして戸惑います。
そのシーン、私も夫も、ヒトとゴリラの手の形の違い、親指の付き方の違いに戸惑っているのだと理解し、特段に気に留めてはいませんでした。
ところが、そのシーンをジッと見ていた"みっつん"は、「こう(手のひら側)と、こう(手の甲側)だからじゃない?」と言ったのです。
確かに、同じ人の手でも、手のひらと手の甲では、見え方が全然違います。
なるほど、君はターザンの戸惑いをそう理解したのだね、と思わず唸ってしまいました。

私たち大人は無意識に、「動物の種類が違うことによる手の形の違い」に着目をしましたが、"みっつん"は「手の向きによる形の違い」に注目していたのが印象的だったので、理科読してみました。
まずは『むかいあわせ』(よつもと あきら/かがくのとも特製版・1985年3月号/福音館書店)。
自然の中にあふれるシンメトリーな形がたくさん登場するのですが、途中にアシンメトリーなヤドカリが登場するところがお気に入りです。
"みっつん"も「あれ~?ちがうね~」とツッコミを入れながら楽しんでいました。

続いて『あしのうらのはなし』(やぎゅう げんいちろう/かがくのともえほん/福音館書店)。
この本にはゴリラも登場します。
「ゴリラだね」とのことだったので「ゴリラの手はどんな形?」と聞いてみるとじっくりとページを眺めて「ゴリラのあしのうらとてのひらは、よくにている」と絵本に書かれた文を読み上げていました。
ひらがなが読めるようになってきて、自分で口に出して読み上げることで、言い回しを獲得したり、理解を深めたりしている様子が見られるようになってきました。

『どうぶつのあしがたずかん』(文:加藤由子/絵:ヒサクニヒコ/岩崎書店/1989年)を読んだ後、"みっつん"が生後1か月、1年、2年の手形・足形を一緒に見比べ「成長だね」と言うと、「成長だね」と満足そうな様子でした。

『ほんとうのおおきさでみてみよう! だれのあし?』(写真:福田豊文/監修:今泉忠明/ひさかたチャイルド/2019年)を読み、動物園で確かめたくなっていた時に、ホワイトタイガーの足の裏は何色?というテレビのクイズと出会った"みっつん"は「ピンクだって!」と興奮気味に報告してくれました。
興味関心が湧いている時に関連する情報があると、自力でグイグイ吸収していけるのだなぁと実感した出来事でした。
やり過ぎにならない程度に、さりげなく環境を整えて、そそのかしていきたいです。

※ 写真:息子生後1か月と3歳の時の手形