理科読日誌

2018年10月の記事一覧

『OPPOSITES たいしょうご』

『OPPOSITES たいしょうご』
Patrick Gerorge
Silverback Co. Ltd
2010
※残念ながら、品切れ中です

数年前に、友人の出産祝いを探していたときに書店で見かけて一目惚れ。
即購入してプレゼントしました。
"みっつん"が生まれて、我が家にもほしいなと思い探しに探しましたが品切れ中で見つけられず・・・。
それでもどうしても諦めきれず・・・。
初めてフリマ・アプリを使いました。

とても秀逸な仕掛け絵本です。
左右のページに「対照語」が描かれています。

たとえば、「おおきい Big」というページには上を見上げている人の小さなシルエットが描かれ、反対のページには「ちいさい Small」という言葉と大きな手のシルエットが描かれています。
この見開きの間に、透明シートに描かれた円が挟まっているのです。
透明シートを「おおきい Big」のページに重ねると、大きなボールを小さな人が見上げている構図になり、透明シートをめくって「ちいさい Small」のページに重ねると、小さなボールを指でつまんでいるようなイラストになるのです。

とてもシンプルな言葉とイラストですが、透明シートを左右どちらのページに重ねてみるかで、見事に反対の世界が広がります。


目下、「紙は獲物」な お年頃の"みっつん"ですが、紙のページと透明シートのページをなでなでして、手ざわりの違いを研究していました。対照語としての趣深さは、まだわからないと思いますが、はっきりした色使いやシンプルなイラストは結構お気に入りのようです。

それにしても、本の「一期一会っぷり」が加速してきているように感じます。出版業界の厳しさは、たびたび話題になりますが、もう少しじっくり時間をかけて売れるようになったら、こういう素敵な本と出会える機会が増えるのにな・・・ともどかしく感じます。
出会ったときに買わないと、本当にあっという間に姿を消してしまいますね。

『もりに かくれているのは だあれ?』

『もりに かくれているのは だあれ?』
アイナ・ベスタルド:さく  きた なおこ:やく
青幻舎
2017年
¥1,900+税


先日、『いろいろへんないろのはじまり』のことがお気に入りの姪っ子の話を書きました。この絵本も、彼女のお気に召した1冊です。

緑・青・赤3色の"レンズ"がついていて、それぞれの眼鏡でのぞいて見ると、1つのページの上にまったく違う世界が広がります。

同じようなしかけの絵本はほかにもありますが、この絵本が優れているのは、付属の"レンズ"が大きくて覗きやすい点です。
こどもにとって、片目で覗くというのは案外難しいことです。この絵本の場合、"レンズ"が十分に大きいので両目で覗けるところが素晴らしいと思います。

そして、青の"レンズ"で覗いた世界が明るく見やすい点も優れています。
別の絵本で、青いフィルターで覗いた世界が暗すぎて、せっかくのしかけが見えず、残念!という思いをしたことがありますが、この絵本はノーストレスです。


たとえば、赤い光だけがはね返されれば、私たちは「赤い物」として見ることになります。
このように、光源から出た白色光のうち、物によってはね返された色の光が私たちの目に届きます。
この絵本では、赤・水色・黄色の3色のインクで描かれていますが、緑の"レンズ"を通すと、赤のインクで描かれた部分だけが際立って見えるのです。
青の"レンズ"を通すと、赤のインクと黄色のインクの部分が見え、赤の"レンズ"を通すと、水色のインクの部分が見えるので、3色の世界が見事に切り替わります。


まだ"みっつん"には、付属の"レンズ"は「獲物」として認識されて食べられてしまいそうだったので、もう少し彼の成長を待って、一緒に楽しもうと思います。
その頃には、姪っ子が読み聞かせをしてくれるかも・・・?

『ぼくのぱん わたしのぱん』

『ぼくのぱん わたしのぱん』
神沢利子:ぶん  林 明子:え
福音館書店
1978年1月 かがくのとも
1981年 かがくのとも傑作集
¥900+税


パン好きな食いしん坊母の影響で、"みっつん"もパンが大好きです。離乳食も後期に入り、パンを使ったメニューも少しずつバリエーションが出てきました。

市販のパンはよく気を付けていないと、はちみつが入っていることがあったりするので、自分で美味しく焼けたらいいな・・・と思うようになりました。
そこで先日、パン作りが上手な友人に作り方を伝授してもらってきました。
ときどき、手作りパンが食卓にのぼったら・・・と、もくろんでいます。

そんなこともあって、パンの絵本を何冊か図書館で借りてきました。

これは私の癖なのですが、あるテーマの本をまとめて借りるようにしています。
何冊かまとめて読むことで、そのテーマをいろいろな角度から見渡すことができ、おぼろげながら全体像のようなものがつかめるし、短期間に繰り返し1つのテーマの話を読むことで、記憶にも残りやすいように思うからです。

この絵本はその中の1冊。
3人兄弟が自分たちでパン作りにチャレンジするようすが丁寧に描かれています。
分量が書かれていないのだけが残念!
書いてあったら、ぜったいに真似するのになぁ、とそこだけがもどかしいのですけれど、そこは他のレシピで補えばいいかな、と思うことにしました。

時間経過がさりげなく時計のイラストで示されているのが素敵です。
よく見ると10時ころに作り始めたパンが15時頃に完成しています。

"みっつん"がもう少し大きくなったら、この絵本を読んでから一緒にパン作りをしてみたいです。

『分水嶺さがし』

『分水嶺さがし』
野坂勇作
福音館書店
たくさんのふしぎ 2016年8月号
※月刊誌のバックナンバーなので、図書館などで、ぜひ

山に降った雨は、斜面のこちらの川に流れ込んだり、あちらの川に流れ込んだりします。
どちらの川に流れ込むかの境目が「分水嶺」です。
分水嶺にハマッた作者が、お水を入れたペットボトルを持って、分水嶺探しを始めます。
あっちでチョロチョロ、こっちでチョロチョロ・・・。

たくさんのふしぎは、小学生くらいのお子さん向きの内容が濃いシリーズなので、もちろん"みっつん"の読み聞かせには、まだまだ向きません。

でも、大人が読んでも充分面白いんです、この本。
分水嶺のおもしろさのエッセンスだけでも伝わったらいいなぁと思い、「あめふりくまのこ」の替え歌をして"みっつん"と楽しんでいます。


おやまに あめが ふりました あとから あとから ふってきて チョロチョロ おがわが できました
※ここまでが、鶴見正夫さんによる、もとの歌詞です

おやまの あっちに ふったあめは だんだん じめんに しみこんで あっちの おがわに ながれこむ

おやまの こっちに ふったあめは だんだん じめんに しみこんで こっちの おがわに ながれこむ

おやまの たかい ところには あっちと こっちの さかいめが。 そうです そこが ぶんすいれい

梅雨時に、この替え歌を歌いすぎて、オリジナルの歌詞がスッと出てこなくなってしまいました。

『ちいさいタネ』

『ちいさいタネ』

エリック=カール:さく  ゆあさ ふみえ:やく
偕成社
1990年
¥1,400+税

すっかり秋めいてきました。
特に日の暮れ方に「秋の日は釣瓶落とし」という言葉がよぎるようになってきました。
そこで、「秋です。」から始まるこの絵本を手に取りました。

強い風にのって飛び散った花の"タネ"が旅をしていきます。
芽生えるのには適さないところに落ちてしまったり、動物に食べられてしまったり・・・せっかく芽生えても日当たりが悪くて育つことができなかったり、人間に摘み取られてしまったり・・・植物の世界って厳しいんだなぁと実感します。

以前、『名探偵コナン理科ファイル 植物の秘密』のコラムを執筆するために植物について学んでいた時期がありました。その時、ガリレオ工房メンバーで植物について詳しい先生に教えていただいた本は、とても面白く、生き残りをかけた植物たちのあの手この手の攻防戦が刺激的でした。

『植物は考える-彼らの知られざる驚異の能力に迫る』
大場秀章
KAWADE夢新書
1997年
※残念ながら品切れ中のようです。図書館にあれば、ぜひ。

『ふしぎの植物学-身近な緑の知恵と仕事』
田中 修
中公新書
2003年


エリック=カールさんの大胆な色使いの絵は子どもたちに大人気ですが、"みっつん"もご多分に漏れず、ハートをつかまれたようです。
特に、太陽とドーンと咲き誇るお花が描かれたページには歓声を上げておりました。


0歳児には少し長い物語なので、読み聞かせをするときには数ページずつ読んだり、パラパラと絵だけを楽しんだりもしています。